スマホ契約のキャンペーンには疑問があった!
総務省が事前に支払い総額の表示を義務化へ
やっぱり、お役所も疑問を抱いていたようです。
スマホや携帯の通信会社を所管する総務省が、今年10月から、通信各社が利用者に対し契約期間の支払い総額を定時するよう義務化する方針だと、日本経済新聞が報じました。
総務省は10月から、携帯電話の契約期間内の支払総額を利用者に示すことを携帯大手に義務づける。利用者が2年契約などの期間内の通信料や端末代を確認できるとともに、各社の料金を比較しやすくして値下げ競争を促す。契約1年目だけ通信料を割り引くようなサービスがあり、支払総額がわかりにくい状況を改善する。(出典:日本経済新聞)
通信各社はキャッシュバックや3ヵ月間は半額といった各種キャンペーンでユーザーの獲得競争を繰り広げています。
しかし、目先の利益をチラつかせて契約した後は高額な通信料金を毎月払わされる利用者も少なくありません。
というのも、通信料金は仕組みが複雑なため、利用者の目はどうしてもキャンペーンのお得さに向きがちだからです。
しかし、「契約期間中に利用者がトータルでいくら支払うことになるのか、総額を示しなさい」と、キャンペーン商法に物言いがついたわけです。
この総額表示が本格化すれば、通信各社は支払い総額で勝負しなければいけなくなり、ごまかしの効かないキャンペーン合戦に突入するというわけです。
具体的な総額表示の方法は?
では、通信各社は契約前に、どんな風に利用者に支払い総額を表示するのでしょうか?
日本経済新聞によると、支払い総額は「●年間の支払いの目安は●万●円」という形で提示し、端末代を25ヵ月以上の分割払いにする人には通信契約が終了したあと、その分割払いの残債がいくら残るのかということも明示するということです。
事前にスマホの分割払いの残債も知ることができるので、契約終了後に多額の残債があるがゆえに他のキャリアに変更できない事態を事前に防ぐ手立てにもなるわけです。
たとえば「2年間の支払いの目安は18万600円」といった形で示し、通信料や端末代などの内訳も併記する。20万円前後の人が多くなりそうだが、高性能の端末を分割払いで購入する人は大幅に上回る見通しだ。端末代を25カ月以上の分割払いにしている人は契約終了時の残債も明示する。(出典:日本経済新聞)
常々、私も通信業界のキャンペーンには疑問を抱いていました。
というのも、契約当初にお得なキャンペーンであっても、基本料金が高ければ、結局は総額で高い料金を支払っていたということになりかねないからです。
支出リテラシーの高い人なら、キャンペーンだけで契約を判断しないと思いますが、お年寄りや情報弱者は店頭で販売員から複雑な説明をされると、赤子の手をひねるように騙されてしまいます。
当ブログは、格安SIMやモバイルWIFIの比較記事を配信していますが、当初から読者がキャンペーンにごまかされないように、ある工夫を施していました。
キャンペーよりも基本料金や総額で判断する記事を配信
格安SIMやモバイルWIFIの比較記事で心がけたこと
私は格安SIMやモバイルWIFIの比較を記事にするにあたって、最も悩んだのはキャンペーンの扱いでした。
悩んだ末、私なりに、次のような比較や紹介の方法を徹底しました。
まずは、格安SIMですが、比較記事で取り上げた21社について、料金などの一覧表は基本料金だけの比較表にしました。

また、モバイルWIFIの比較記事は17社を取り上げました。
その中で、特に料金が安そうな数社については、自分で契約期間の支払い総額を計算し、本当に安いサービスはどれなのか、ユーザーに分かりやすく判断材料を示す方式にしています。

キャンペーンを前面に押し出さない比較記事にしたのは、次の理由からです。
- キャンペーンはコロコロ内容が変更されるのであてにならない
- ユーザーがキャンペーン重視に陥って割高な料金を選択しないようにしたい
- 自分ならある程度支払い総額を計算して選択すると考えた
上記の3点がキャンペーンよりも基本料金や総額を重視した記事にした理由ですが、もちろん、通信サービスというのは料金だけでなく、通信の質やアフターケアといった量的比較の難しいサービスでもあります。
ですから、「安ければ、良いサービス」とは限りません。
ただ、料金に限って言えば、キャンペーンよりも支払い総額で判断するのが経済合理性に優れているのは間違いあありません。
キャリアも格安業者もガチで勝負する日が近い!
総務省は今年、秋には携帯料金のルールを抜本的に改革する方針です。
冒頭、ご紹介した「事前の支払い総額表示」だけでなく、2年契約を途中で辞める際の違約金も1000円以下に抑える考えです。
今年秋以後の携帯料金のルール案が11日、明らかになった。2年契約を途中でやめる際の違約金を1000円以下に抑えることなどが柱で、料金体系やビジネスモデルが大幅に変わる。通信会社による顧客の「囲い込み型」から、通信会社を変えやすい「乗り換え型」に移行を促すことで、料金の引き下げがどこまで進むかが焦点になる。(出典:日本経済新聞)
契約の途中解約は、現在8000円ほどの違約金を取られるケースが多いようです。
その違約金の高さから、他の通信サービスが魅力的でも乗り替わりをためらっているユーザーも少なくないはずです。
しかし、途中解約の違約金が1000円以下になれば、他のサービスに変更することに躊躇がなくなります。
これは通信各社にとってはチャンスでもあり、ピンチでもあります。
これからは、小手先のキャンペーンではなく、「支払い総額で勝負!」という正々堂々の戦いが始まるのです。
こうした真っ正面の競争は、間違いなく業界の透明化につながり、何よりもユーザーのメリットになるはずです。
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